名古屋正教会

Nagoya Orthodox Church

コンスタンティノープルの大主教金口イオアンの
 
 ハリストス我が神の至栄なる復活の光明の日の説教

 正教会では、毎年復活大祭の早課で高らかに「神は起き…」という聖歌を歌い終えた後、聖務者も会衆も互いが「ハリストス復活!実に復活!」と呼び交わし相抱いて接吻します。そして最後にこの金口イオアン(聖ヨハネ・クリソストムス)の説教を読み上げます。
 この説教は次に掲げる「ぶどう園の労働者のたとえ」(マタイ伝20:1-16)を下敷きにしています。

 天国は、ある家の主人が、自分のぶどう園に労働者を雇うために、夜が明けると同時に、出かけて行くようなものである。彼は労働者たちと、一日一デナリ(「銀貨一枚」)の約束をして、彼らをぶどう園に送った。
 それから九時(当時の時刻の呼び方では「第三時」)ごろに出て行って、他の人々が市場で何もせずに立っているのを見た。そして、その人たちに言った、『あなたがたも、ぶどう園に行きなさい。相当な賃銀を払うから』。
 そこで、彼らは出かけて行った。主人はまた、十二時(「第六時」)ごろと三時(「第九時」)ごろとに出て行って、同じようにした。
 五時(「第十一時」)ごろまた出て行くと、まだ立っている人々を見たので、彼らに言った、『なぜ、何もしないで、一日中ここに立っていたのか』。彼らが『だれもわたしたちを雇ってくれませんから』と答えたので、その人々に言った、『あなたがたも、ぶどう園に行きなさい』。
 さて、夕方になって、ぶどう園の主人は管理人に言った、『労働者たちを呼びなさい。そして、最後にきた人々からはじめて順々に最初にきた人々にわたるように、賃銀を払ってやりなさい』。
 そこで、五時ごろに雇われた人々がきて、それぞれ一デナリずつもらった。
 ところが、最初の人々がきて、もっと多くもらえるだろうと思っていたのに、彼らも一デナリずつもらっただけであった。もらったとき、家の主人にむかって不平をもらして言った、『この最後の者たちは一時間しか働かなかったのに、あなたは一日じゅう、労苦と暑さを辛抱したわたしたちと同じ扱いをなさいました』。
 そこで彼はそのひとりに答えて言った、『友よ、わたしはあなたに対して不正をしてはいない。あなたはわたしと一デナリの約束をしたではないか。自分の賃銀をもらって行きなさい。わたしは、この最後の者にもあなたと同様に払ってやりたいのだ。自分の物を自分がしたいようにするのは、当りまえではないか。それともわたしが気前よくしているので、ねたましく思うのか』。
 このように、あとの者は先になり、先の者はあとになるであろう」。

説教本文

(祈祷では正教会文語訳が読み上げられます。その格調高い文体は横浜教会のHPに拙訳とともに掲載されている明治文語訳で味わってみてください)
 
さあ、心から神を愛する人々よ
 この美しく光り輝く祭を楽しもう
さあ、賢いしもべたちよ
 それぞれの喜びを胸にたずさえ、主ご自身の歓喜と一つになろう

長い斎(ものいみ)をしっかり守った者は
 さあ銀一枚(一デナリ)を受け取りなさい
(あなたが長い大斎の最初から、そう、あのぶどう園の労働者たちのように)
第一時から働いたなら、今日、胸を張って当然の報酬を受け取りなさい
第三時を過ぎてから来たのなら、感謝して(その報酬を)喜びなさい
第六時をまわってから来たのでも、何の心配もいらない
 同じだけ受け取れるのだから
第九時になってようやく来たとしても
 何をとまどっている…、さあ、この食卓につきなさい
とうとう第十一時になるまで重い腰を上げなかったあなたも
 遅れたからといって、何も怖がることはない

そうなのだ、この宴会の主人は実に寛大だ
 最後の者も最初の者と同じように迎えてくれる
 第十一時に来た者も、第一時から働いた者と同じように憩わせてくれる
 後から来た者も憐み、最初から来た者も忘れはしない
彼にも与え、これにも賜われる
 行いも受け入れてくれ、志も祝福して下さる
 功績(てがら)も認めてくれ、望みも励まして下さる

さあ、だから、この主ご自身の歓喜(よろこび)に入ろうではないか

第一の者も第二の者も、報酬を受け取りなさい
富める者も貧しい者も、共に祝いなさい
節制した者も怠けた者も、この日を喜びなさい
斎した者も斎しなかった者も、さあ、いま楽しみなさい

この宴(うたげ)は溢れこぼれんばかりに豊かだ
さあみんな、飽きるほど食べなさい 子牛はまるまる肥えているではないか
この宴から空腹で帰ってゆく者が、一人でもいてはいけない
さあみんな、この信仰の宴を楽しみなさい
 この慈しみの富をうけなさい
誰も、もう、貧しさを憂いてはいけない
王国が打ち立てられ、すべての人々が招かれているのだから

誰も、もう、罪のために泣いてはいけない
 主の墓から赦しが輝き出たのだから
誰も、もう、死を恐れてはならない
 救世主(ハリストス)の死が私たちを解放したのだから

彼(ハリストス)は、死に包囲されたが、逆に死を討ち滅ぼした
彼は、地獄に降って、地獄をとりこにした
彼は、そのお体に触れた地獄を悔やませた 預言者イサイヤが言った通りだ
 「地獄はあなたを組み敷いてしまってから、悔いて悲しんだ」と

地獄は悲しんだ。そこが空っぽになってしまったから
地獄は悲しんだ。恥をかかされてしまったから
地獄は悲しんだ。葬り去られてしまったから
地獄は悲しんだ。打ち倒されてしまったから
地獄は悲しんだ。縛られてしまったから
 
地獄は主の肉体を受け取って、神に向かい合う羽目になってしまった
地獄は地上に生きた者(ハリストス)を受け取って、天国に出くわしてしまった
地獄は目に見える肉体を受け取って、見えざる者の力に圧倒されてしまった

死よ、おまえの刺(はり)はどこにいってしまったのか?
地獄よ、おまえの勝利はどこへいってしまったのか?

ハリストス復活して、おまえは失墜した
ハリストス復活して、悪魔は倒された
ハリストス復活して、天使らは歓喜する
ハリストス復活して、「いのち」は凱旋する
ハリストス復活して、墓の中にはもう死者はいない
ハリストスが死より復活して、死者たちの復活の初穂となったから!

光栄及び権柄は、世世に主に帰す アミン。