名古屋正教会

Nagoya Orthodox Church

19、神の母マリアと諸聖人の記憶

 正教会の聖堂の壁には沢山の聖人の聖像がかけられています。聖人とは、天国で神と共に住む立派な方々です。聖堂内にかけられている沢山の聖像は、聖体礼儀を行う時、私達だけが行うのではなく、聖人や天使達も一緒に行っていることを記憶させます。
 イイススに非常に近かった特別の聖人が居ります。それはイイススの母マリアです。マリアはセオトコスと呼ばれ、それはギリシャ語で「神の母」の意味です。
 司祭が聖神を呼ぶお祈りをし、パンとブドー酒がご聖体、ご聖血となった後、司祭は神の全ての聖人を記憶し、特にマリアのことを私達に思い起こさせます。私達はマリアをたたえ特別の賛美の歌をうたいます。

「常に福にして全くきずなき生神女、我が神の母なる汝を賛美するは真に当たれり。ヘルヴィムより尊く、セラフィムにならびなく栄え、貞操をやぶらずして神言を生みし、実の生神女たる汝を崇めほむ」。

「生神女マリア」

 イイススの母マリアは福音書の中に何度も名前があげられていますが、福音書は彼女の出生や、幼い時のことについては記してありません。これらのことは初代の信徒の間で記憶され、初代の教会にあって人々から、人々へと語りつがれて伝えられました。マリアの両親はイオヤキムとアンナですが、彼等は年寄りになっても子供がないので悲しんでいました。ですから娘が生まれた時、彼等は非常に喜び、その子を神に捧げることを決心しました。マリアが3才になった時、彼等は彼女をイエルサリムの聖殿へつれて行きました。司祭長は彼女を、自分でも年一度しか入ることが出来ない、聖殿の最も聖なる処へつれていきました。
 マリアは聖殿のお世話をする女の人々の間で養育されました。彼女は16才になった時イオシフと呼ばれる人と婚約しました。或る日、彼女が自分の部屋に居りますと、当然彼女の周りに輝かしい光がさし、その時彼女は自分の前に天使長ガウリイルを見ました。天使は言いました。「神に愛される者よ、主はあなたと共にいます」。マリアは不思議に感じ、これは何のあいさつかを思いました。
 天使は再び言いました。「マリアよ恐れることはない。あなたは神の恵みを受けたのです。あなたに子供が生まれ、あなたはその子をイイススと呼ぶことになります。彼は立派な人になり、神の子と呼ばれるでしょう」。
 マリアは天使にたずねました。「私には夫がないのにどうしてそんなことが起こり得ましょう?」天使は答えました。『聖神があなたに下るのです」。マリアは答えました。「私は主に従います。あなたのお言葉のようになりますように」。その時天使は彼女の許を離れました。
 イイススの誕生の日が近づいた時、マリアとイオシフは、ビフレエムに行かなければならなくなりました。彼らは休むところがどこにもなかったので、その一夜を馬小屋に使われていた洞窟で過ごすことにしました。ちょうどその夜イイスス・ハリストスは生れ、マリアは彼を飼い葉桶の中に横たえました。羊飼い達は天に於いてイイススの誕生を歌う天使達の歌声を聞いて、イイススを拝するためにやって来ました。
 成長されたイイススが家を離れ、人々を教え、病をいやされた時、マリアは時々彼と一緒に行きました。福音書には、ある貧しい人々が婚宴のために十分なお酒を準備出来なかった時、彼女の願いによってイイススはその人々を助けたことが記されています。
 イイスス・ハリストスの地上での生活の終わりに十字架に釘せられた時、マリアはそのおそばに立って泣いていました。私達はイイススが死より復活された時、マリアがどんなに嬉しかったかを想像できます。
 マリアは十二門徒と共に生活し、五旬節に門徒達が聖神をうけた時も彼らと一緒に居りました。彼女は年老いてこの世を去るまで、イイススが最も愛した門徒イオアンと一緒に暮らしました。