名古屋正教会

Nagoya Orthodox Church

聖致命者エウプル

 聖エウプルは、ローマ皇帝・ディオクリティアンによる恐ろしい迫害の中、シチリア島にあって、輔祭として神のみ旨に生きていました。
 当時、皇帝は『聖書』を携えることを厳禁し、役人はそれを見つけると、直ちに焼いてしまいました。しかし、正教徒たちは『聖書』を不敬虔な者に手渡すよりは、むしろ刑に処せられる方を望み、死をもってこれを守りました。
 聖エウプルは、このような迫害を少しも恐れず、常に祈祷と教訓をもって人びとの信仰を固めることに努めました。ところがある日、一日中家で『聖書』を読んでいると突然、役人に捕らえられ、『聖書』を持ったまま裁判所へ連れて行かれました。

 裁判長は彼を見ると、「お前はどうしてその書物を持っているのだ?」と言いました。 

 エウプルは静かに、「・・・・・・捕らえられる時、これを読んでいたのです」と答えました。

 すると、裁判長は、「その書物の中の一節を読んでみろ!」と命じました。

 このため、エウプルは書物を広げて、「義のために迫害されてきた人たちは、さいわいである、――天国は彼らのものである」(マトフェイ5・10)

「だれでもわたしについてきたいと思うなら、自分を捨て、自分の十字架を負うて、わたしに従ってきなさい」(マルコ8・34) と大きな声で読み上げました。

 裁判長はこれを聞くと、「それは、何のことを言っているのだ?」とエウプルに尋ねました。

 すると、エウプルは、「これは、主イイスス・ハリストスが私たちに与えた戒めです」と答えました。

裁判長は、人びとの信仰を固めているエウプルを何とか正教のみ教えから背かせようと説得し、さらには拷問にかけました。が、全く効果がなかったため、彼を牢獄につないでおくように命じました。

その後も何度となくエウプルは裁判所に呼び出され拷問を受けましたが、彼はその都度、「・・・・・・この書物の中には“永遠の生命”が描かれています」と言い続け、信仰を固く守り通しました。

 このため、裁判長はエウプルを独房に入れ、食べ物や水を与えずに彼を苦しめようとしました。エウプルは、ただひたすら主へお祈りを捧げました。――すると、主は奇蹟をもって独房内に水を湧き出させました。

このように、どのような手段を用いてもエウプルが正教のみ教えに背かなかったので、裁判長はとうとう彼に死刑を宣告しました。

こうして、エウプルは首に『聖福音書』をかけられて刑場に引かれて行きました。聖エウプルは刑を受けるまでの間、ずっと人びとに教訓を与えました。・・・・・・そしてとうとう、処刑が始まりました。すると 突然、天より、「忠信なる善僕、エウプルよ、あなたは幸いである。――さあ、主の楽園に入りなさい」という声がありました。・・・・・・その瞬間、エウプルは首をはねられて致命したということです。